第一回/2000年 21世紀くすり俳句大賞第一回/2000年 21世紀くすり俳句大賞

【選評】

くすりはいのちのためにあり、いのちは輝くためにある。俳句はつまるところ、いのちを見つめ讃える詩である。こんな気持ちから立ちあがった21世紀くすり俳句大賞に12,000を超える句が寄せられた。しかも力作ぞろいだ。審査員としてはおおいに困ったが、もちろんうれしい困惑だ。
大賞。大野智代さん、夏の深夜、月の光の下で美しい花を開き、数時間でしぼんでしまう月下美人、その豪奢ないのちを「雌蕊雄蕊はしぶき挙げ」とまことに的確にうたいあげた。それは月下美人にとどまらず、大宇宙のいのちそのものへの讃歌である。
優秀賞。占部耕三さん、嬰児のいのちの力を「ぐんぐんと乳を飲む」と表現し、その背景に「鰯雲」を置いた。とくに「ぐんぐんと」というオノマトペアがすばらしい。若林稔夫さん、「いのち」という言葉をまともに用いて、いかにも「真直」な姿勢正しい句だ。「初山河」がいきいきと決まっている。有永克司さん、この「惜しみけり」は「愛しみけり」でもあろう。「除夜の湯」も自分の「いのち」も大宇宙・大自然からの贈りもの、それゆえにこそ深く愛惜するのだ。
佳作十句、準佳作十句、それぞれに季語の生かしかたの見事さに脱帽した。季語は言い換えればいのちのキー・ワード。季語を生かすかどうかで、俳句十七音の詩の生きるかどうかが決まる。入選五十句にも佳作・準佳作に並ぶ句がいくつもあった。

◎なお審査員の責任において部分的に添削した作があることを申し添えます。

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【審査員】

写真:高橋睦朗氏

高橋睦朗氏 Mutsuo Takahashi高橋睦朗氏 Mutsuo Takahashi

経歴

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